何の感情も湧かない… それは感情鈍麻(アパシー)かもしれません

何の感情も湧かない… それは感情鈍麻(アパシー)かもしれません

喜怒哀楽が麻痺したかのような虚無感はありませんか?


普段の生活において、仕事や学校に行ったり、友達と遊んだりするなかで、いろんなことがおきますよね。

人間は自分以外とのコミュニケーションや環境によって、なんらかの気持ちが生まれるものです。


しかし、本来だったら出てくるはずの喜怒哀楽が、気付いたら何も感じずに過ぎ去ってしまっている。

それは、感情鈍麻(アパシー)かもしれません。
(※感情が言語化できない失感情症と混同しないように注意してください。)

感情鈍麻(アパシー)とは

英語で a pathy 【a=否定 pathy=感情】「感情がない状態」という意味を持ちます。

感情鈍麻(アパシー)とは、気持ちの変化が乏しくなったり、感情がなくなったり、物事への興味関心がなくなる状態を指します。

同時に感情表現の減少、他者の感情がわからないといったケースも少なくありません。
他にも、自発的な行動が極端に減ったり、なくなったりすることもあります。


わかりやすい人間の感情として“喜怒哀楽”がありますね。

しかし、どのような刺激を受けても感情が湧いてこなかったり、表現しない・できない、そんな状態を感情鈍麻(アパシー)と言います。

症状の出方として、喜怒哀楽を感じるボーダーラインが全体的に上がったり、特定の感情だけ感じにくくなったりと、人それぞれ傾向は異なります。


症状の種類

感情鈍麻(アパシー)で発現する症状を紹介します。

・感情の平板化と興味の喪失
自分の気持ちを理解できずに表現できなかったり、感じないことを感情の平板化と言います。
感じるはずの気持ちをまるで感じなかったり、感情や興味に対する喪失とも言えます。


・気力や意欲などの低下
無気力な状態です。
やるべきこと、自らの習慣、好きなことなど、さまざまな面で無気力化します。
生気がないような雰囲気をまとっているような状態とも言えます。
別記事で紹介した燃え尽き症候群と同じような症状ですね。


・言語機能の低下や想像力の欠如
話しかけても反応が薄い、または聞こえていないなどの態度になります。
誰かの話を聞くときは、話し手の言葉や身ぶり手ぶりから、どのようなことなのかを想像してイメージを近づけるのが一般的ですが、想像力や思考力が落ち込むことで会話が成立しなかったり、見当違いな回答を行うことが多々発生します。


・自閉傾向
感情鈍麻(アパシー)ではこれまでの症状から分かる通り、基本的に人と過ごすことに疲れてしまうため、他者とのコミュニケーションを避けるようになります。
部屋の中に閉じこもってしまったり、連絡が取りづらくなったりします。
現実逃避のような行動と思考になり、次第に表情もなくなっていきます。

実際に私がカウンセリングを行うなかで、感情鈍麻(アパシー)の症状がみられた方の事例を、カウンセリングレポートとして掲載しています。

ぜひ併せてご覧ください。


感情鈍麻(アパシー)の原因

うつ病・認知症・脳梗塞・甲状腺機能障害などでも起こりうる症状です。

精神疾患に伴うことが多く確認されていて、年齢や性別で偏りがあるわけでなく、すべての人に起きる可能性があります。


他にも、統合失調症で発症する陰性症状の1つでもあります。

肉体的な見解からは、脳神経のドーパミンの機能低下で起こりやすくなるともされています。

ドーパミンはアドレナリン・ノルアドレナリンの前駆物質。
これは“やる気”の元と言えます。

やる気の低下は、感情に対して強い影響があると捉えられます。
(※遺伝的(先天性)な発達障害の感覚鈍麻(アパシー)とは異なります。)


感情鈍麻(アパシー)の対処法・対策

ストレスをなくすことから始める必要があります。

まずは、ストレスとは何かを理解するために、ストレスとレジリエンスの記事をお読みください。

続いて、ストレスへの対処法として、睡眠や休養の他にヨガ、筋弛緩法、瞑想(めいそう)などが効果的です。

ストレス解消に役立つものとして、以下の記事を掲載しています。
自分でやってみよう!うつ病からの解放
カウンセラーが教えたい、かんたんな筋弛緩法
瞑想(めいそう)によって生まれる新しい幸せの感覚
ぜひ読んでみてください。

それでもよくならないときは、状況によってさまざまな解消法が考えられますので、医療行為やカウンセリングを受けることをおすすめします。

最後に、感情鈍麻(アパシー)の多くの場合は心の病を患っている可能性があり、治療が必要になります。


精神科やクリニック、心療内科、神経内科では処方される投薬による治療がメインです。

逆に、投薬によって心は落ち着いても根本的な解決にはならないこともあるので、そんなときはカウンセリングや各種心理療法も有効な手段になります。

相談する人がいない、1人ではどうすることもできないという方がいらっしゃいましたら、FABO news.の運営するサービスでもカウンセリングサービスがあります。

有料相談、無料相談、どちらもありますので、興味があればいつでもご相談ください。

この記事のライター

神奈川県生まれ。心理カウンセラー・キャリアコンサルトの有資格者。うつ病 / パニック障害 / 適応障害 / 依存症 / などの精神疾患から仕事や日常的な悩みなどを幅広くカウンセリング活動を行う。社会問題から心理学関連、カウンセラー活動記録、研修・教育、など人や仕事に関わるジャンルでライティングを行う。趣味は、アニメ鑑賞、競馬、散歩。採用コンサルタント、就業ケアマネージャーとしても活動。

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