心理カウンセラーの見解 ―自殺の方法による違いは存在するのか―

心理カウンセラーの見解 ―自殺の方法による違いは存在するのか―

飛び降り自殺、飛び込み自殺、首吊り自殺など、自殺をする人の「死に方」による違いとは


ここ数年、誰もが知る有名人・著名人が「自殺」と思われる方法でこの世を去るニュースが後を絶ちません。
自殺そのものの件数が飛躍的に上がっているというわけではありませんが、有名人であればあるほどその衝撃が走ります。

そういったニュースが流れてくると、私自身も「生きる」ということ、「死ぬ」ということに考えを巡らせ、そうしていくうちにどうしても「死に方」についても考えてしまうのです。

※この記事の作成あたり、筆者の過去のカウンセリング相談者のなかから、自殺未遂者や自殺願望が強い方の意見も参考にしております。

死に方による明確な心理の違い

自殺の方法として、以下のようなものが思い当たります。
・高層ビルなどの屋上・上層階から飛び降りる【飛び降り自殺】
・駅のホームや高台などから飛び込む【飛込自殺】
・森林や家の中で首を吊る【首つり自殺】
他にも薬物使用や、一酸化炭素中毒などの事例も多いと感じます。


心理的な側面から言うと、「死に方」そのものでの明確な違いはないと感じます。

例えば、飛び降り自殺をする人はこういう人である傾向が強いだとか、首つり自殺の場合はこういう人だとか、「死に方」で個人の特性を表すことは不可能だと思います。

それは最終的な方法であって、問題はその前に隠れているからです。
「どんな方法を選んだか」ではなく「その方法を選んだ状況」から、その人がどのような苦しみやどのような状況だったのかある程度判断できるかもしれない、とせいぜい読み解く程度が限界だと私は思います。


人は自殺をするとき、ある程度のカテゴリーに当てはめることができます。

以下、参考にご覧ください。
心理カウンセラーが教える 自殺の種類とその傾向
実際に筆者の友人が自殺で亡くなったときの考察記事もアップしています。
友人の飛び降り自殺 心理カウンセラーの想い

今回は、自殺の方法によってどのような状況であると判断できるのかをお伝えしたいと思います。

死に至る2つの道筋

自殺に至るまでの道筋としては、大きく2つに分けられます。

①衝動的な自殺願望

衝動的に死にたいと思うこと、皆さんは経験ありませんか?
気持ちの強弱はあるにせよ、経験者は多いのではないかと思います。

嫌なことがあったり、強烈なストレスを一時的に受けたときなどが想定されます。
人は心への強い圧力を受けるとストレスを感じます。

そのストレスの感じ方の種類はいくつもあります。

・仕事上のミスや重圧
・借金や生活苦
・失業/過労による心労
・差別や非人道的扱いを受ける
・イジメや嫌がらせ
・燃え尽き症候群
・親しい人の死
・恋人や家族など親しい人との別れ

上記のようなことを「ストレッサー」(ストレスの原因)と呼びます。

このストレッサーによる影響が一点に集中して、心を瞬間的に壊してしまうことが衝動的な自殺願望につながります。

この場合、判断能力は失われ、その後の周囲への影響など考慮できないと言ってもいいでしょう。

「今いる状況から消えたい・逃げたい」「絶望的な無力感」「世界に取り残されたような自分の存在の無意味さ」のようなもので心が埋め尽くされてしまいます。

衝動的な自殺を行う人の傾向

遺書がない、または非常に簡単なメモ書きのみ、身辺の整理が一切されていない、直前の言動や印象が明らかに普段と違う、というようなことが考えられます。
結果的に死に至った明確な理由がわかりづらいのが特徴です。

必然的にどのような方法で死に至るかというと、“最も簡単でその場で実行できるもの”です。
飛び降り自殺、飛び込み自殺、首吊り自殺など関係なく選ばれます。

自殺の種類で言うと、
・自己本位的自殺(強い孤独感情)
・集団本位的自殺(コミュニティへの強い背信感情)
が該当しやすいと言えます。

②計画的な自殺願望

衝動的な自殺願望とは異なり、非常に綿密に計画が練られていることが特徴的です。
同じような準備として「終活」に近いかもしれません。

この場合、ストレッサーによる影響は一点に集中するのではなく、何度も何度もつらい経験が積み重なって“心が回復しない状態”であると言えます。

心が回復しない状態で、かつ理性的で冷静でもあります。
前向きだとか後ろ向きだとかそういうことではなく、生きるということを諦めてしまうという感覚です。
それは同時に“死ぬことを受け入れてしまう”ということでもあります。

「自分が死ぬことは当然のこと」「どうしたら迷惑をかけずに逝けるか」「自分の死が誰かのためになるならそれでいい」といった心理状況であると考えられます。

計画的な自殺を行う人の傾向

しっかりと遺書が用意されている、自分が死んだあとの手順なども指示がある、直前の言動や行動など普段と変わりないなど、気づくことが難しいのが特徴と言えます。

その計画は数週間から年単位で考えつくされていることもあります。


その間、その人は“ずっと死と向き合いながら死ぬために生きている”と言えます。
死ぬ意味や理由は遺書により明確にされていますが、残された人は理由が明確であるが故に背負うものが多くなってしまうかもしれません。


死に至る方法は、“最も誰にも迷惑がかからないもの”です。

そのため飛び降り自殺や飛び込み自殺が選択されることはほとんどありません。
首吊り自殺や一酸化炭素中毒、薬物による方法が選択されることが多いと考えられます。

計画的な場合は自己本位的自殺、集団本位的自殺、アノミー的自殺、宿命的自殺すべての可能性が高く、複合しているとこも多いにあり得るはずです。

自殺未遂者や自殺願望を思いとどめさせた“言葉”

カウンセラーという職業上、「死」を望む人の声を聞くことが多い私が心に残った言葉を1つ紹介します。

私が死にたいと毎日思っていたときは、普段は感じることのない「死」を身近に感じていました。

例えば、車とすれ違ったとき「ぶつかったら死ねるかな」とか、電車を眺めていて「飛び込んだら死ねるけど痛いって思うのかな」とか。

そんなことばかり考えていると、死ぬことってそんな特別なことなんだっけ?と思うようになっていました。


私の場合はそんな自分をわかってくれる人がいました。

カウンセラーさんに話したことから変わり始めて、家族や友達に伝えることができました。

今思えばなんで死んでいなくなることばかり考えていたのかと…。

素直な気持ちを話すことが難しいと思っていたけど、苦しさとか悲しさとか伝えることでこんなに気持ちって変わるんだなって思いましたね。


この話を私が聞いたとき、「死ぬことは特別じゃない」という言葉でハッとした気持ちになりました。

確かに死ぬことが特別じゃなかった場合、「死ぬ」ということのハードルは非常に下がり、逆に生き続けることが特別だと感じているのではないかとも考えました。

解決方法は人それぞれ違うと思いますが、誰かに話すことができれば変わるかもしれません。
もし今悩んでいる方がいれば、参考にしてほしいと思います。



私がこの記事で伝えたいことをお話しすると、人は産まれたときから死ぬことが決まっています。
その有限の時間をどう使って、どういう風に生きるかというのは、幼少期から大人になるにつれて生き方が形成されていくものです。

人によって周囲の環境や接する人は異なりますので、当然ながら人によって過酷なことも、優遇だと思われることもあると思います。


ただし、どんな人であっても生き方を決めるのは自分自身で、「どんな生き方をしたいのか、どんな自分でいたいのか」という壁には等しく全員がぶつかります。

そういった壁を乗り越えて人は生きていきます。
最終的に命が尽きるその瞬間まで、その答えは出ないかもしれません。

ですが、最期の瞬間に「これまで生きてきたことは間違いじゃなかった」と思えた方が良い、とどうしても私は考えてしまいます。

その最期の瞬間が老いによる寿命であることが望ましいとは思いますが、突然訪れることもあるでしょう。
自殺のように自分で最期を選ぶこともあると思います。


道のりがどんなものであっても、最期にどんな気持ちでいたいかということを皆さんにも考えてほしいと思い、この記事を執筆しました。

この記事のライター

神奈川県生まれ。心理カウンセラー・キャリアコンサルトの有資格者。うつ病 / パニック障害 / 適応障害 / 依存症 / などの精神疾患から仕事や日常的な悩みなどを幅広くカウンセリング活動を行う。社会問題から心理学関連、カウンセラー活動記録、研修・教育、など人や仕事に関わるジャンルでライティングを行う。趣味は、アニメ鑑賞、競馬、散歩。採用コンサルタント、就業ケアマネージャーとしても活動。

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