2022年10月29日、大韓民国 ソウル特別市の繁華街・梨泰院(イテウォン)で群衆雪崩が発生。
梨泰院とは、日本でもリメイクされた大人気ドラマ『梨泰院クラス』のロケ地にもなっており、たくさんの観光客が訪れる場所です。
コロナウイルス感染症の流行から3年ぶりに規制が解除され、ハロウィンを控えた休日ということで街は大混雑し、周辺には13万人以上が訪れていました。
11月7日時点では156名の死亡と197名の負傷が伝えられており、多くの人々が胸部や腹部を強く圧迫され、立ったまま意識を失い死亡したということです。
警察の対応
韓国の法令では、大人数イベントの主催者に対して安全管理や安全対策計画の提出が義務付けられています。
しかし、この日の梨泰院では特定の主催者による大規模イベントは行われておらず、各店舗が独自にイベントを開いていました。
地元警察は事前に事故の可能性を指摘していましたが、警備計画には反映されないまま当日を迎えます。
危険を訴える数々の緊急通報があったにもかかわらず、警察の対応は消極的であり、その初動の遅れに非難が集中。
警察側も対応が不十分だったことを認め、謝罪するに至っています。
一般人も行った救助活動
当時の現場は緊急処置の必要な人々で溢れており、消防隊員だけでは対応しきれない状況。
消防が警察に要請を出すも機動隊の到着は遅く、一般市民も救助活動に加わりました。
はたして心肺蘇生ができる一般人がどれほどいるのか…と思いますが、韓国では徴兵制がとられており、男性には兵役義務があるため、兵役中に心肺蘇生を学ぶのだそうです。
全く同じ状況のなか同じ事故が日本で起きたとしたら…犠牲者はもっと多かったかもしれません。
韓国では現在、心肺蘇生法の講習を受講する人が急増していると言います。
“自分にもできることはないか”という姿勢は見習うものがありますね。
責任の追及が激化するなか、最も悲しいのは被害者の責任だという声の数々です。
「そんなところに行くからだ」「コロナなのに密になって」
もし自分が、もしくは自分の大切な人が同じような事故で犠牲になったとき、果たして同じことが言えるのかと問いたいです。
とんでもない数の尊い命が失われたという現実を理解できていないのでしょうか。
本当に悲惨な事故だと思います。
筆者がこのニュースを見て思うのは、“誰かのせいではないといけないのか?”ということです。
起きてしまったことを起きる前に戻すことは決してできません。
本当に大切なことは、“どうしたら同じ事故が起こらないのか”ということではないでしょうか。
クリスマスや年末・年始とイベント事が続くと思いますが、人混みはできるだけ避けるよう気を付けましょう。
岡山県生まれ。大学で英米語を専攻するも、韓国語のほうが得意。
興味・関心をもったトピックスについてジャンルを問わず執筆。
平和主義者。好きな言葉は「好きこそ物の上手なれ」