<アニメシリーズ>鬼滅の刃 無限列車編 ―煉獄杏寿郎を考察―

<アニメシリーズ>鬼滅の刃 無限列車編 ―煉獄杏寿郎を考察―

心理学でひもとく炭治郎、善逸、伊之助、杏寿郎の心。


<アニメシリーズ>鬼滅の刃 無限列車編
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ぜひ前回記事と併せて読んでみてください。

本記事では、『鬼滅の刃』の作者 吾峠呼世晴さんが、無限列車編で「夢」という側面からキャラクターに対して何を描いたのかを考察します。

今回は煉獄さんこと煉獄杏寿郎の考察をしていきます。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』ティーザービジュアル

(C) 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

杏寿郎は、炭治郎や善逸、伊之助が所属する鬼殺隊のトップである柱のうち、炎柱をつとめており、「うまいっ!」「心を燃やせ」「責務を全うする」などの記憶に残る台詞を残しています。

映画 無限列車編では、後半から猗窩座(あかざ)と激しい戦闘を繰り広げます。
もはや、この映画のメインはその戦闘シーンだと言っても過言ではありません。


杏寿郎の無意識の世界を考察

杏寿郎が見ている夢は、父親の前に座り自分が炎柱になったことを伝えるところからスタートします。
そして、弟と話したり、稽古をしたりして過ごします。
ここで、夢を見せられた他の3人とは違うことに気付きます。

他の3人は明らかに幸せだと分かる夢で描かれているのに対し、
杏寿郎は父親に炎柱になったことを伝えても喜んでくれないという切ないシーンでした。

当然ですが、このシーンで幸せという感情は生まれないと思います。
ではなぜ魘夢(えんむ)が幸せな夢を見せているはずなのに、このシーンの夢を見たのでしょうか。

それは、杏寿郎にとっては辛い思い出であっても、
“守るべき家族と過ごしている”こと自体が幸せなのではないかと考えます。

煉獄家は病気で母を亡くし、それを機に父の性格が変わってしまい、
弟が不安を抱え、それでも家族をつなぎとめるために杏寿郎が一生懸命になっていました。
だからこそ、どんな形でも家族と一緒に過ごせるということ自体が、杏寿郎にとっての幸せだったのだと思います。

炎柱の家に生まれた弟に対して、剣の道以外を提案したりするところを見ても、強さを強要することはありません。
きっと自分が強く生まれた責務として、どんなことがあっても家族を守ると考えていたのではないかと思います。
他人の幸せを心から願えるからこそ、優しさと強さで心を燃やしているのでしょう。

次に、杏寿郎自身が意識できない心の中を考察してみましょう。

石畳と燃える炎

青空と石畳に燃える炎が描かれていて、少し不思議な演出です。
夢で見ている実家とはやはり全く違う環境ですね。

燃えるはずのない石畳の上が炎で溢れている描写は、どんな時もどんな状況でも、心を燃やすことで力を出すことができるという杏寿郎の強い気持ちの表れなのでしょう。
杏寿郎が、意識下でも無意識化でも心を燃やすことを貫いているのが見てとれます。

真っ赤に燃える精神の核

精神の核を壊しに来た子どもが「赤い核なんて見たことない」と言っていましたね。
杏寿郎の精神の核は、見たところマグマのような熱さの核だと感じます。

杏寿郎は、この核を燃やし続けて気持ちを強く持つことを誓っているのでしょう。
だからこそ、無意識下のなかに炎があり、どんな状況だって心が負けることはなかったのだと思います。


杏寿郎の母の教えと偉大さ

杏寿郎に最も影響を与えた人物は、自身の死を悟ったときのシーンを見る限り、母の瑠火(るか)で間違いないと思います。

瑠火の教えは、以下の通りです。

なぜ自分が人よりも強く生まれたのかわかりますか 弱き人を助けるためです 生まれついて人よりも多くの才に恵まれた者は その力を世のため人のために使わねばなりません 天から賜りし力で人を傷つけること 私腹を肥やすことは許されません 弱き人を助けることは強く生まれた者の責務です 責任を持って果たさなければならない使命なのです

集英社:『鬼滅の刃』8巻より

瑠火は、強さとは振りかざすものではなく、弱き者を助けるために使うものだということを自分の最期の言葉として選びました。

令和の時代の今、イジメ、自殺、虐待、格差、差別、さらにはコロナウイルスなど社会的な問題や課題がたくさんあります。
力は誰かのために使うものであるという瑠火のこの言葉は、いろんな人の心に響いたのではないでしょうか。


杏寿郎の持つリーダーシップ

杏寿郎はスパっと答えを出したいタイプの人間であるとファンブックに書かれています。
これは、心理学上の性格特性では「指導者型」と言えます。

指導者型にはリーダーシップを持つ人が多く、求心力がある人が多いです。
人を惹き付ける力、人を助ける力、人に教える力、まさに煉獄杏寿郎は理想のリーダーとも言えます。

だからこそ、少ししか接していない、炭治郎・善逸・伊之助に強いインパクトを与えたのではないかと思います。
映画 無限列車編では、煉獄杏寿郎が接した多くの人たちの心に炎を灯しました。

それを伝えた素晴らしい作品だと思います。

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の新キービジュアル

(C) 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

この記事のライター

神奈川県生まれ。心理カウンセラー・キャリアコンサルトの有資格者。うつ病 / パニック障害 / 適応障害 / 依存症 / などの精神疾患から仕事や日常的な悩みなどを幅広くカウンセリング活動を行う。社会問題から心理学関連、カウンセラー活動記録、研修・教育、など人や仕事に関わるジャンルでライティングを行う。趣味は、アニメ鑑賞、競馬、散歩。採用コンサルタント、就業ケアマネージャーとしても活動。

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