<はじめに>
カウンセリングのレポートは本人承諾を得ています。
文章は実際の言葉から乖離(かいり)しない程度に編集しています。
同じような悩みを抱える人やこれから訪れる同じような環境になり得る方に、
カウンセリング事例を紹介することで少しでも役立つレポートを発信することが目的です。
このカウンセリングは、社内カウンセラーとしての活動の記録です。
外部カウンセラーとして契約企業の従業員を定期的にカウンセリングするというものです。
相談内容は、仕事以外も含めてその人に関わるすべての相談が可能になっています。
今回の相談者は、40代会社員1人暮らし独身の女性です。
『母親が憎くて仕方ない
―40代女性会社員、母親の介護が始まった苦しみと嫌悪感―(前編)』
2週間後の継続カウンセリング2回目です。
―お疲れさまです。お仕事は大丈夫そうですか?
時間があるのでゆっくりお話しいただいて大丈夫ですからね。
お疲れさまです。ありがとうございます。
前回話をした後に母親とも話しました。
やはり話しているうちに憎いという感情が出てきてしまって、あまり長く話すことはできませんでした。
逃げ帰って来たわけではないんですが、長く話すことができそうにないですね。
―そうでしたか、憎いという感情についてもう少し伺たいのですが、
具体的に気持ちや心への影響としてどのような感じがしますか?
…そうですね、言葉にしたことはないので表現が難しいのですが、
話していると気持ちが、こう、イライラするというか、むかむかしてくるというか。
もうどうでもいいやってなってしまう感じですね。
―イライラとむかむか、からどうでもいいやっという感じになってくるんですね。
ありがとうございます。どうでもいいやっていうのはどのようなことに対してですかね。
なんでこんな人のために私ここまでやっているんだろうという感じですね。
そもそも昔から好きではなかったし、自分自身母親から好かれているわけでもないと思っています。
私からは好き嫌いではなく、母親として認められないというか、
自分に害があるような存在だと思ってしまっていたみたいな…
―認められない、自分に害がある、ですか。
思い出せる範囲でいいのですが、母親として認められない、認めたくない、と思ったエピソードなどはありますか?
はい、前回もお話しした感じなのですが、
例えば、中学2年の頃ですが、担任と母親との3者面談が終わった後くらいですかね。
その頃からテストの成績や学校生活のことについて非常に厳しくなったんです。
母親が高校入試のことを強く意識し始めたんだと思います。
中2の時は5段階評価でほとんどが4と5の評価でしたが、それを維持させようとしたのか、
「もっと勉強しろ」
「先生に褒められるようにしろ」
とかそういったことばかりを言われていました。
ちょうど自分にも反抗期がありましたし、すごくムカついていました。
中2が終わるころには自分が反抗期であることも認識し始めまして、徐々に落ち着いていきました。
でも…それでも母親に対してだけはムカつく憎いという気持ちは止まりませんでした。
―自分が反抗期であるとは認識したことで、気持ちのうえでは落ち着き始めたのに、母親に対する感情や態度だけは変わることはなかった。ということですね。
あ…
―どうしたましたか?
簡単にいうと、母親に対する反抗期がまだ続いているってことなのかなって思いました。
―反抗期が終わっていない、そうですね。
私も今のお話しだけ聞くとその反抗期の延長線上にいるのかなと考えていました。
反抗期について少しだけお話ししたいと思います。
はい、お願いします。
―いわゆる反抗期は幼少期と思春期に起こるのが一般的です。
解明されている部分と、多くの人の傾向でのお話しを総合すると、
反抗期は精神的な成長の過程で起こるものとされています。
これは多くの場合、家族に向けられることが多い一方で、家族外にはあまり及ばないことも分かっています。
なぜ、家族に対しては向けることができるのかというと、
わがままを言ってもいい、多少態度を悪くしてもいいというような、甘えられる存在だと認識している人に向けられることがあります。
なので、父親と母親の一方だけの方もいれば、どちらともという方もいます。
おじいちゃんやおばあちゃん、兄弟、いとこ、など人それぞれなんです。
ただ、今回の件に関しては反抗期が終わっていないような状態に近いというだけですし、
すべての人が対象者を甘えられる人という基準で選定されているわけではありませんので情報の1つとして。
反抗期ですか…
私は1人っ子で、親戚も少ないので確かに反抗期の対象者は自ずと母か父になるはずです。
が、母親に対して甘えたいと思ったり、もっとかわいがってほしいとかそういう風に思ったことはないんですよね。
―そうですか。ちなみにお母さんをどのような人だと思っていますか?
ひとことで表すと、“薄情な人”です。
―薄情…とは?
母親はきっと私のための将来ではなく、自分の見栄や保身のために私を使っていたんじゃないかと思っているんです。
見栄をはったり虚栄心が強い人です。
友達の親との関係も、今の言葉を使うとマウントを取りに行くような人でした。
そのせいで小中高生時の友達が少ないんです。
家族ぐるみで仲が良い友達はいませんし、今でも連絡を取るような友達はいません。
―なるほど、それで薄情なんですね。
ちなみにここまでいろいろなことをお話しさせていただきましたが、お母さんに対して何か感情が変わったような感覚などはありますか?
はい。
いろんなことを思い出した、というか気づいてきたような気がします。
全然まとまりませんが…今日はここまでにさせてもらっていいですか?
ちょっと整理したいと思います。
―はい、もちろんです。お仕事もあると思うのでまた時間を見つけてご予約くださいね。
お疲れさまでした。
2回目のカウンセリングは以上です。
1人だけでは考えないようなエピソードや感情の話を一緒に進めました。
これまで考えてこなかった自分の感情や新しい思考がたくさん出てきたと思ってよいと考えます。
これらの情報整理については、その場ですぐにすることは難しいです。
情報の整理のために時間がほしいと本人から出てきたことは、自分自身のことについて前向きに検討したいという表れだとして捉えます。
次回は整理された気持ちが、過去と現在、未来にむかってどのように変化するかによって、カウンセリングも変わっていきます。
カウンセリングレポート『母親が憎くて仕方ない―40代女性会社員、母親の介護が始まった苦しみと嫌悪感―(後編)』
神奈川県生まれ。心理カウンセラー・キャリアコンサルトの有資格者。うつ病 / パニック障害 / 適応障害 / 依存症 / などの精神疾患から仕事や日常的な悩みなどを幅広くカウンセリング活動を行う。社会問題から心理学関連、カウンセラー活動記録、研修・教育、など人や仕事に関わるジャンルでライティングを行う。趣味は、アニメ鑑賞、競馬、散歩。採用コンサルタント、就業ケアマネージャーとしても活動。