カウンセリングレポート|40代会社員女性(後編)

カウンセリングレポート|40代会社員女性(後編)

母親が憎くて仕方ない―40代女性会社員、母親の介護が始まった苦しみと嫌悪感―(後編)


まずはこちらをお読みください。

カウンセリングレポート『母親が憎くて仕方ない―40代女性会社員、母親の介護が始まった苦しみと嫌悪感―(前編)』


カウンセリングレポート『母親が憎くて仕方ない―40代女性会社員、母親の介護が始まった苦しみと嫌悪感―(中編)』

<はじめに>

カウンセリングのレポートは本人承諾を得ています。

文章は実際の言葉から乖離(かいり)しない程度に編集しています。

同じような悩みを抱える人やこれから同じような環境になり得る方に、カウンセリング事例を紹介することで少しでも役立つレポートを発信することが目的です。

このカウンセリングは、社内カウンセラーとしての活動の記録です。
外部カウンセラーとして契約企業の従業員を定期的にカウンセリングするというものです。

相談内容は、仕事以外も含めてその人に関わるすべての相談が可能になっています。

今回の相談者は、40代会社員、1人暮らしの独身女性です。


『母親が憎くて仕方ない 
 ―40代女性会社員、母親の介護が始まった苦しみと嫌悪感―(中編)』※URL差し込み※
の1週間後の継続カウンセリング3回目です。


―お疲れさまです。前回から1週間ですが、整理はできましたか?

お疲れさまです。前回はたくさんお話しをしたことで、少しだけすっきりしたような気がします。


―そうですか、それは良かったです。
もしよければ、前回を踏まえた気持ちを聞かせていただけませんか?


はい。単刀直入に言うと、やはり反抗期だったんじゃないかなと思っています。

母親に対して、母親として期待をしていた部分がたくさんあったのかなって。

その期待していた部分があって、それがかなわなかったから母親として許せなかったんじゃないかって。


―お母さんに対して期待していたのはどんなことか、何か思い当たったんですか?

友達のお母さんは、お菓子作りをしたり、一緒にお洋服を買いにいったり、そういうのをたくさん見ていました。

私の母親はそういったことを一緒にしてくれたりとか、夕飯も手作りではなかったですし、中高の時のお弁当とかもなくお金だけ渡されていました。

友達はお金もらえてるので、いいなって言ってましたけどね。


―うんうん、そうでしたか。周りの友達のお母さんの関係と一緒のようなことがしたかったっていう気持ちがあったんですね。

はい、別にこの歳になってもそうとは思っていませんが、ちいさい時の自分はそうだったんだよなって思い返したりしました。


―そうすると、今のお母さんの関わり合いに変化も出てきそうですか?

許してあげようかなって思っています。


―許す?

はい。
自分が思い描いていたものができなかったことを許すという意味です。
そう考えたら少し楽な気持ちでいられるんです。


―そうですか。今はお母さんと会うことに対するつらさとかしんどさみたいなものはありますか?

不思議とこれといってないですね。

積極的に会いたいというのも、会いたくないというのも感じないようなイメージです。

冷たくするとか優しくするとかそういうことも考えないで、普通に話をしたりできるような気がしています。


―ご自身の中でまずは“憎い"という感情から変化をしたことで、今はそこから先に進むことができそうな感じなので良かったです。

これからまた新しい悩みや感情のもやもやなどがあったらいつでも来てくださいね。




3回目でカウンセリングは終了です。

総括

最初に母親のことが憎いと感じてしまうという相談から始まり、
それが具体的にどのような感情になっているのかを一緒に確認していきました。

同時に過去の出来事や過去の気持ちを洗い出してもらうことで、昔と今で何が違うのか、何が一緒なのかを自分自身の中で考えてもらえました。

お母さんに対して期待していた思いと、実際の気持ちの不満足さという不協和が生まれていたのかもしれません。


ご自身では“許す"という答えを通過点として出して気持ちが楽になってきたと言っているので、その時は深く追求することは止めました。

せっかくのカタルシスが濁ってしまう可能性を示唆したためです。


ただ、どうしてもご自分の親に対する“許す"という表現にはいくつか心理学的な違和感は感じていたため、この後カウンセリング外でお伝えしています。


最後に

社内カウンセリング制度を導入している企業のように、
気軽にカウンセリングが可能な環境の方は、比較的カウンセリングの障壁が低いので相談がしやすくなります。


このような介護の相談は多いですが、

誰にも相談できなかったり弱音が吐けなかったりして心が疲れきった状態、
または何かしらの精神疾患を負ってしまっている状態での相談が最も多いです。


心が疲れ切ってしまう前に近くのカウンセリングルームや相談所、施設カウンセラーなどに相談してみてください。

この記事のライター

神奈川県生まれ。心理カウンセラー・キャリアコンサルトの有資格者。うつ病 / パニック障害 / 適応障害 / 依存症 / などの精神疾患から仕事や日常的な悩みなどを幅広くカウンセリング活動を行う。社会問題から心理学関連、カウンセラー活動記録、研修・教育、など人や仕事に関わるジャンルでライティングを行う。趣味は、アニメ鑑賞、競馬、散歩。採用コンサルタント、就業ケアマネージャーとしても活動。

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