チャイルドペナルティとは
「子育て罰」とも言われており、出産によるキャリアの中断、社内昇進における不平等、賃金格差や雇用格差といった、子育てが女性やひとり親家庭にとって社会的に不利になることを指します。
ガラスの天井が示す女性に対する社会格差に似た、子どもをもつ親に対する社会格差が存在するのです。
ひとり親家庭の現状
日本のひとり親世帯のうち、9割が母子家庭であり、そのうちの約8割が働きに出ています。
しかし、8割の働く母親の半数は非正規雇用で、親子2人が安定した生活を送るには厳しい現実があります。
また、離婚家庭において養育費を受け取れている家庭はわずか24%程度。
養育費の平均は4万円強と、生活費の足しと考えるには十分な額とは言えません。
小さい子どもをもつ家庭では、就労時間の制限や子どもの急な発熱による早退など、さまざまな要因でフルタイムでの勤務が難しい、あるいは労働時間が確保できずに十分な収入を得ることができていません。
そこから派生して、限られた時間での就労が決まったとしても、早退が多いために会社から雇用破棄を言い渡されるといった事例もゼロではないのが現状です。
女性の意識は
ひとり親家庭に限らず、育児をする女性はどのように考えているのでしょうか。
20代~50代の周囲の育児ママさんと、出産経験のない女性にアンケートを取りました。
キャリアや自身の稼ぎ・生活における満足度、仕事復帰の意思、仕事における今後の目標、ライフプランなど自由に回答してください。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ▶子育て女性の回答 ・もともと将来は家庭に入りたいと思っていたから、無理して社会復帰しようとは思わない。夫の稼ぎによって働きに出たとしても扶養内勤務かな…。(20代) ・新卒で入社して3年目で出産、育休を終えてからは即復帰。管理栄養士を目指して勉強してきて、出産を機に辞めるなんて考えられない。仕事は続けていきたい。(20代) ・夫と2人で生活していた頃に比べてとにかく出費が増えた。お互い貯蓄が十分にできていないうちに出産したので、働きに出ないと絶対に生きていけない。(20代) ・1人目を産む前は飲食店でアルバイト、出産を機に退職。正社員にこだわりはないから時間に余裕ができたらまたアルバイトを探そうかな~。(20代) ・育児休業給付金や夫の稼ぎで生活費はまかなえています。復帰しないといけないと分かっていても、仕事に費やす気持ちも体力もなくなっています。(30代) ・育休を経て仕事復帰したら、後輩の方が自分の何倍もたくさんの業務をこなせるようになっていた。教える側だった過去の自分が教えられる側に立場が逆転していて心が追い付かない。出産の弊害というのか… 身をもって体感した。(30代) ・1年前に3人目を出産、何年も育休手当をもらい続けています。使える制度は使わなきゃ。仕事には復帰するつもりだけど、フルタイムでは戻るつもりないかな~。(40代) ・子どもが大きくなって手はかからなくなったけど、10年以上パートを続けています。今さら正社員で雇ってくれるところなんてないでしょう。(50代) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ▶出産経験のない働く女性の回答 ・そもそも結婚の予定すらないし、自分1人で生きていくつもりで仕事に専念している。(20代) ・早く子どもを産んで仕事を辞めたい。(20代) ・子どもを育てるための十分な蓄えなしに、後先考えず出産なんてありえない。教育もきちんと受けさせてあげたいし、お金を理由に諦めさせたくない。キャリア最優先で生きてきたけど、子どもを産んでいないからここまでこられたわけで、子どもを産んだ時に私の年収って保証されているのかな?(20代) ・結婚のタイミングで仕事をやめて今は専業主婦。子どもほしいね~とは話しているけど、そううまくはいかないみたい。もちろん子どもを産んでも働く気はないです。家事育児に専念するなら働きに出る時間なんてないから。(30代) ・ここまで積み上げた自分のキャリアを手放すのは絶対に嫌。すごくいい会社だけど、出産というブランクで少なからず昇進に影響が出るのは目に見えている。(30代) ・子どもが産めない体の私は子どもを産むという選択はできなかったけど… 夫と2人の生活で十分満足しています。お互い大学を卒業してから働き続け、裕福な生活ができているのでなんの不満もないです。(50代) |
出産、仕事に対するさまざまな意見が集まりました。
仕事に対する熱量やライフプランは人それぞれで、出産が仕事に支障をきたすものとして考えている人ばかりではありませんでした。
できることは?
前置きとして、さまざまな企業・家庭があるなかで、必ずしもこうあるべきというわけではなく、あくまで“チャイルドペナルティを軽減・消滅させるためには?”を筆者なりに考えました。
■企業
・完全なる能力評価
・産休・育休を取りやすい社風への転換
・時短出勤、残業禁止などの勤務時間における整備
・在宅勤務や固定業務にシフトする選択の自由化
・男性の育休推進
・女性のモチベーション維持・回復につながる施策(復帰後のポジションや給料の保証など)
■身の回り
・家族や友人などの協力
・自身が保育園などの保育サービスを知っておく、あるいは利用する
・諦めない意思をもつ
■行政や社会
・保育の確保
・男性の育休推進政策の実施
などでしょうか。
私は働く女性を応援したいです。
しかし、出産育児のために発生する人員としてのマイナスを肯定することもできません。
子どものことだから仕方ないという意見も、人員にマイナスが出ることに対する会社側の不満も、どちらの意見もよく分かります。
育休に目もくれない男性はたくさんいますし、育休をとる人を「仕事に穴をあけるなんて昇進できなくて当たり前」と考える管理職の方だっているでしょう。
むしろそういう考えの人のほうが未だに多いのではないでしょうか。
週5日、フルタイムで働くことが当たり前の世の中ですから、子育てがキャリアの弊害になっている現実はそう簡単に解消できない問題であると理解しています。
しかし、性別が男性か女性か、育児をしている最中かどうかで能力をはかる世の中であってはいけないということを、声を大にして発信したいです。
皆さんはこの現実をどう考えますか?
1996年、新潟県生まれ。
趣味は献血、フォロワー1人のインスタアカウント有。
日本一の抹茶アイスを作るため研究中。