筆者がカウンセラーとして社内カウンセリングを行っていると、話を伺っている社員が精神疾患になってしまっている場合も少なくありません。
短期的なお休みや通院、なかには仕事の量や内容を減らすといった話も挙がります。
休職の話になると、「降格するんじゃないか」「給料が下がるんじゃないか」「辞めさせられるんじゃないか」そんなことを相談される方もたくさんいらっしゃいます。
しかし、それらを理由にして不遇な扱いを行うことは禁じられています。
なかには体調にまで影響が及んで今まで通り働けないという方もいらっしゃいますが、個人としては無理して働くより、一定期間お休みして精神も体も回復させることをお勧めします。
休職をしたことがない人、休職した人を見たことがない人などは、どのような流れで休職に至るのかをご存じないかと思います。
この記事では、一般的かつ標準的な基準で、休職するまでのプロセスをご紹介します。
休職までの流れ
■1:体や心の違和感を訴える
上司、先輩などにまずは違和感を伝えるところから始まる場合が多くみられます。
一般的に、この時点で何らかの精神疾患に陥っている可能性が非常に高いと言えます。
■2:心療内科、メンタルクリニック、産業医などの診察を受ける
数日から数週間で症状が緩和したり元に戻らない場合は、医療機関で診てもらいます。
ここで精神疾患ではないと判断された場合、任意でお休みをしたり、生活リズムなどの改善を図ります。
■3:1~3回程度の受診で精神疾患だと伝えられる
症状が濃く出ている場合は、最初の受診で何らかの精神疾患だと言い渡されます。
軽い症状の人は、1~2週間程度間を空けて数回受診します。
(※投薬されることもありますが、投薬=精神疾患ということではありません。)
■4:職場に受診内容を報告して、休職までの就業規則などを確認する
原則的に、精神疾患と診断されている場合は休職の手続きに入ります。
各会社ごとにルールが違いますので、人事や上司の方と状況を照らし合わせて確認を行います。
休職中の給料や仕事上の簡易的な引継ぎ、緊急連絡先などの再確認などが行われます。
■5:休職前、休職中、休職後の流れを確認する
各会社によっては、面談を行うことが約束されていたり、定期的な報告義務などが存在します。
そして、最も重要なのは復職後どのように復帰するかという決定です。
例えば、
・時短で復帰する
・休暇を増やして出勤する
・休職前と同じように復帰する
などが挙げられます。
当然ながらこの段階で状況はわからないので、パターン別でいくつかの道筋を用意しておく必要があります。
■6:休職中はかかりつけの医師の指示に従う
一般的に主治医が最も状況を把握していると考えられるため、医師の指示に沿って生活します。
例えば、
・飲酒喫煙を控える
・外出を控える
・仕事に触れないように過ごす
といった具体的な指示が出されることもあります。
原則としては休息をとることが目的になります。
なかには私のようなカウンセラーに対し、定期的に連絡やお話をしてくださいと指示する方もいます。
■7:復職判定を受ける
復職できるかどうかは主治医の診断によることがほとんどです。
そして、原則的に休職というのは復職することが目的とされています。
しかしながら本人が続けられないという場合は、退職も選択肢として存在しています。
■8:会社側のフォローアップ
休職があるということは、その後のフォローアップや組織としての関わり方の基本方針が用意されているはずです。
いきなり休職前と同じように、「とりあえず今まで通り頑張って」と復職者個人の頑張りに任せることは許されません。
他にも入院や療養施設入所に伴う休職など、さまざまなパターンがあります。
今回ご紹介したものは一般的かつ標準的な流れです。
今も昔も、仕事上の問題で心の調子を崩してしまう人は多く存在します。
そしてそれを無視したり我慢し続けることで、回復が間に合わないほど悪化してしまうことがあります。
休職することは恥ずかしいことではないですし、同じ職場で同じような悩みを抱えている人の助けになることもあります。
ダメだ…と思う前に、1度誰かに相談してみてはいかがでしょうか?
神奈川県生まれ。心理カウンセラー・キャリアコンサルトの有資格者。うつ病 / パニック障害 / 適応障害 / 依存症 / などの精神疾患から仕事や日常的な悩みなどを幅広くカウンセリング活動を行う。社会問題から心理学関連、カウンセラー活動記録、研修・教育、など人や仕事に関わるジャンルでライティングを行う。趣味は、アニメ鑑賞、競馬、散歩。採用コンサルタント、就業ケアマネージャーとしても活動。