2021年9月2日放送のアメトーークを見ていたときのこと。
その日は『かわいい男子大好き芸人』と題してトークが行われており、男性芸人お気に入りの男性アイドル、いわゆる“推し”の魅力を語るという内容でした。
“お笑い”という1つのコンテンツとして楽しんでいたものの、番組が終盤にさしかかり、ある話題にうつったところで急に不快な気持ちに襲われました。
果たしてこれはセクハラに値しないのだろうか…という疑問が拭えなかったからです。
というのも、1人の芸人さんが男性アイドルの裸について言及したのです。
「共演した番組の企画で上半身裸になって行う企画があり、アイドルの裸に見入ってしまった」
「本人に会ったらマッサージをしてあげたい」
などと話し、芸人さんを“推し”に見立ててマッサージの実践をする流れでは、下半身を不必要に触ったり、顔をうずめるシーンが放送されました。
もしこれが女性アイドルを対象にしていたとすれば、そもそもこういった発言は出なかったと思いますし、万が一“ノリ”の一環として発言されたとしても、製作者側は放送していないでしょう。
対象者が異性でなければ許されるだろうという認識が垣間見えたようで、非常に考えさせられました。
セクハラと聞くと、男性から女性に行われるものと真っ先にイメージされる方もいらっしゃると思います。
(もちろん女性から男性に対しても同様です。)
ただ、同性間のセクハラと聞くと、あまり意識していなかったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
2014年7月1日、厚生労働省は男女雇用機会均等法施行規則の改正を行い、職場におけるセクハラは同性間も含まれると明記しています。
職場における同性間のセクハラと言うと、なかなか想像しづらいかもしれません。
以下に例を挙げてみました。
■女性間の場合
・「結婚はまだしないの?」「子どもはいつ産むの?」といった質問をする。
・「上司と性的な関係をもっている」といった性的なうわさを流す。
■男性間の場合
・会社の付き合いの一環だとして風俗に誘う。
・飲み会の席で女性をナンパしてくるよう強要する。
いわゆる“ノリ”として許容されると思っていても、相手が不快に感じた時点でそれはセクハラに該当します。
関係性を構築するための間違ったコミュニケーションの取り方がセクハラを生みます。
より距離感を縮めるために、誰とでも話せるわけではないセンシティブな内容をわざと話しているのかもしれませんが、相手が不快になっては意味がありません。
心の距離がさらに離れるだけです。
本来、より良い関係性の構築のために、そういった話題は必要ありません。
皆さんは、ひとりよがりでない、双方が気持ちの良いコミュニケーションを取れているでしょうか。
何気ない言葉の1つ1つを自身で振り返るには、なかなか難しいかもしれません。
この記事を目にした皆さんが、これからのコミュニケーションにおいて、少しでも意識が変わってくれると嬉しいです。
岡山県生まれ。大学で英米語を専攻するも、韓国語のほうが得意。
興味・関心をもったトピックスについてジャンルを問わず執筆。
平和主義者。好きな言葉は「好きこそ物の上手なれ」