愛情?信頼?洗脳?詐欺?「刷り込み」と「愛着」を正しく理解しましょう。

愛情?信頼?洗脳?詐欺?「刷り込み」と「愛着」を正しく理解しましょう。

「刷り込み」や「愛着」という言葉の意味を、皆さんはどのように理解していますか?


日常生活において、「刷り込み」や「愛着」という言葉を聞くことがあると思います。

一般的に「刷り込み」と言えば、
“1つの活動や学習を反復することで、習慣化させたり、そのように思い込ませる”
というようなニュアンスで使われていると思います。

もう1つ「愛着」と言うと、
“ある特定のものを好んだり、愛情を与えたいという感情”
というような意味合いで使われていますでしょうか。

実はこの2つ、心理学でも有名な言葉です。

そしてこの「刷り込み」や「愛着」は、よく理解したうえで悪意をもって相手に利用してしまうと、洗脳や詐欺の手法として成立してしまいます。
言い直せば、“悪意がなくても相手に害を与えてしまう可能性がある”ということです。


今回は、心理学における「刷り込み」や「愛着」をご紹介します。

刷り込みとは

動物学者のローレンツが提唱する心理理論です。
よく間違えられますが、これは同じことをひたすら繰り返して刷り込むという意味ではありません。

ローレンツは、生まれてきた雛が犬や他の動物を親だと思いこんでしまう、そんな現象を目の当たりにして、なぜそのようなことが起きるのかと考えました。

そして、“特定の時期に一定の条件がそろうと信頼と愛情が生まれる”という風に結論付けたのです。

先に述べた内容を当てはめると、

特定の時期:生まれた瞬間
一定の条件:初めて見たもの(例えば犬)

これがそろうと、雛は犬に対して信頼と愛情が生まれて、親だと思い込んでしまうということです。

結果として、反復的なことをしなくても半永久的に消えない信頼と愛情をもつことができることを「刷り込み」と定義しました。

愛着とは

愛着ですが、日常的に使われている意味と大きな差はありません。
愛着という言葉を使ったボウルビィは、特定の人や動物に「愛情の絆」というような表現をしています。

赤ちゃんが生まれて1歳程度になるまでの間に、笑い合ったり、あやしてくれたり、一緒に寝てくれたり、共感や寄り添いのような行動をともにしてくれることで、赤ちゃん側は相手に対して愛着をもつということを示しています。

当たり前では?と思うかもしれませんが、これは実の母、父、祖母、祖父に関係なく、ミルクを与えてくれる人であるかどうかも関係ありません。

刷り込みと同じように、特定の時期に一定の相互作用がそろうと愛着が生まれるということです。

特定の時期  :生まれて1歳程度
一定の相互作用:共感や寄り添いのような行動

結果として、乳児は相互作用がある相手に対して愛着をもつということを示しました。

刷り込みと愛着

ここまでの「刷り込み」と「愛着」についてですが、実は心理学の中でも『発達心理学』に分類されます。
主に産まれたときから人格形成されるまでの、特に乳児を対象に語られる理論です。

参考として比較できるのが、シアーズの生理的欲求の解消による二次的動因説です。

シアーズの提唱した生理的欲求の解消は、
・ミルクをくれて空腹を解消してくれる
・寒さ・熱さを解消してくれる
・おむつの不快感を解消してくれる
といった“生理的な欲求を解消してくれるから、赤ちゃんは二次的に愛情をもつ(二次的動因説)”という理論です。

このシアーズに対して、
・ローレンツ▶刷り込みによる時期と条件の一致
・ボウルビィ▶愛着の元である時期と条件の相互作用
先述しているこの2人の概念は異なる意見と言えます。

さらには、ハーロウの代理母実験というものが有名です。
ハーロウは子ザルを使った実験をしました。

① 針金で母親をかたどってミルクをセットした人形
② 暖かい毛布や布で包んだミルクのない人形
を用意して、子ザルたちがどちらに愛情をもつか(抱き着いたり、寝たりするか)を実験すると、実験した子ザルすべてがミルクのない人形に愛着をもったのです。

これは、“ミルクをくれる=愛情が生まれる”というシアーズの二次的動因説を完全に否定する材料になりました。

赤ちゃん・乳児がもつ愛情は、生理的な欲求を解消することで生まれるのではないということが証明されたと言えます。

ここまでご覧いただきましてありがとうございます。

皆さんが理解していた「刷り込み」や「愛着」とは違っていたでしょうか。
この理論、実はペットを飼うときなども置き換えて理解することができます。

次の記事では、本記事でご紹介している「刷り込み」や「愛着」を元に、乳児における発達心理学ではなく、日常生活における応用などについてご紹介させていただきます。

この記事のライター

神奈川県生まれ。心理カウンセラー・キャリアコンサルトの有資格者。うつ病 / パニック障害 / 適応障害 / 依存症 / などの精神疾患から仕事や日常的な悩みなどを幅広くカウンセリング活動を行う。社会問題から心理学関連、カウンセラー活動記録、研修・教育、など人や仕事に関わるジャンルでライティングを行う。趣味は、アニメ鑑賞、競馬、散歩。採用コンサルタント、就業ケアマネージャーとしても活動。

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