女性の再婚禁止期間廃止に動き

女性の再婚禁止期間廃止に動き

120年間残り続けた民法上の女性差別問題解消へ


現在の日本には、夫婦が離婚した後に生まれた子どもが誰の子なのかを定めるための法律が存在します。

それは離婚後に女性が再婚した場合でも適用され、子どもがどちらの親の戸籍に入るかを明確にするために定められています。

離婚から300日以内に出生 = 前の夫の子ども

離婚から300日以外に出生 = 現在の夫の子ども


現行法では上記のように定められており、離婚してから300日の間に前の夫以外の男性との子どもができたとしても、戸籍上は前の夫の子どもになります。


これに伴い、女性は離婚後100日間の再婚禁止期間が設けられているのです。

この再婚禁止期間が設けられているのは女性のみで、男性には適用されません。

※1 現在妊娠していないという証明書を役所に提出した場合や、不妊などの理由で妊娠の可能性がない場合は100日以内でも再婚は可能です。

※2 平成28年に再婚禁止期間が6ヵ月から100日に短縮されています。


しかしこれが今、見直されようとしています。

法制審議会は「再婚後に生まれた子どもは期間を問わずに今の夫の子どもとし、女性の再婚禁止期間も廃止する」という内容を取りまとめ、法務大臣に答申。

法務省は2022年度中の改正案成立を目指しています。

ではなぜ今見直されようとしているのでしょうか?

現在の日本では、生まれた子どもが前夫の戸籍に入るのを拒む女性が出生届を提出せず、戸籍がない状態(=無戸籍)の子どもが法務省の把握している限りでも800人以上いると言われています。

戸籍を持たない場合、何か行政サービスを受けようとすると(例えば保育園に入る際や保険証を作る際)そこに居住しているということを役所に確認する必要があります。
みんなが当たり前にできていることにも、1つ手間が加わるのです。

さらに大きくなると、銀行口座が開設できない、運転免許やパスポートを取得できないなど、生活していくうえで誰もが当たり前に持つことができるものすら与えられなくなります。

どのような形で生まれてきた命にせよ、生きていくうえで当たり前の権利を与えてもらえないのは、親ではなく新しく誕生した子どもたちなのです。

この問題を重くとらえ、国は120年もの間女性のみに適用されていた民法の改正に動き出しました。



本記事であげた事例に問わず、現在の日本にそぐわない法律はまだまだたくさん存在します。

1世紀以上前、文明開化が進み始めた男尊女卑の時代に成立した民法が、今なおほとんど形を変えず残っているというのはいかがなものでしょうか。


法はさまざまな段階を経て改正されるものですが、今後も時代の変化に合わせて改正されていくことを願うばかりです。

この記事のライター

1996年、新潟県生まれ。
趣味は献血、フォロワー1人のインスタアカウント有。
日本一の抹茶アイスを作るため研究中。

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