教師が未成年の女学生13名を性的暴行。うち8名妊娠させる事件で死刑判決

教師が未成年の女学生13名を性的暴行。うち8名妊娠させる事件で死刑判決

2016年から起きていた卑劣で許されざる事件。性被害の重さを考えたい出来事です。


インドネシアのイスラム寄宿学校に勤める男性教師が、自分の生徒である女学生に対して、2016年から昨年末にかけ常習的に性的暴行を繰り返していました。
被害にあったのは未成年である16歳~17歳の女子生徒です。

この教師は財団運営者でもあり、非常に強い権力や学内での発言権があったと考えられます。

自身の生徒に対し、自分の立場を利用して卑劣な性的暴行や性行為の強要などをしていましたが、里帰りをした1人の生徒の両親が妊娠に気づき通報したことで事件が発覚しました。

この事件は現地メディアの日刊コンパスなどで報道されており、追加情報として、奨学金を利用している決して裕福な家庭ではない子どもたちに目を付けていたことも報じられています。

13人の被害者のうち8人は、9人の子どもを出産。
(インドネシアは人工中絶禁止の法令があるため、中絶をするという選択肢はないものと考えられます。)
残りの5人はまだ出産などの情報がなく、加害教師の蛮行は余罪がある可能性も考えられています。

被害者の学生たちは、自分たちの財政的な立場や羞恥心、加害教師への恐怖感から、助けを求め申告することができない状況だったと言われています。

死刑判決までの流れ

逮捕直後、現地でも大きく報道されたこの事件。
一審は「無期懲役と科学的去勢」という結果でした。
(※無期懲役とは期間の定めがない服役系となりますが、一定期間(日本であれば10年程度)で仮釈放が可能になり、約20年前後で釈放とされることが多いです。)

科学的去勢は、加害者に薬を投与することによって性的興奮や性に対する意欲を減退させる去勢です。
(※日本では認められていません。)

この判決に対し、市民などから死刑を求める声が上がりました。

その後2022年4月5日の控訴審にて、一審の判決を覆し「死刑」の判決が下ったのです。

日本との比較

日本では、性的暴行や性加害における死刑判決はこれまで1度も歴史がありません。
死刑はおろか、無期懲役刑になることもほぼ考えられないのが現実です。

インドネシアの性的な加害に対する姿勢は、日本に比べて非常に重たいものとみられていることは間違いありません。

近年、日本で起きた性加害事件と比較してみました。

【2019年3月 テキーラの一気飲みから準強姦罪事件】
▶概要
性的暴行による逮捕歴5回の慶応大学の生徒が、女性にテキーラを一気飲みさせることで酩酊させ、レイプをした事件。

▶判決
女性が抵抗できない状態であったことを認めたにも関わらず、被害者側が行為に同意したように誤信させていた可能性があるとし、無罪判決となりました。


【2006年12月 滋賀電車内駅構内での連続強姦事件】
▶概要
2006年8月に1回、12月に2回、電車内で女性を脅し強姦した事件。
加害者はそれまでに前科9犯あり、6回の服役経験がある人物でした。
最後の服役から1ヵ月たたないうちに起こした強姦事件です。

▶判決
大津地方裁判所は懲役18年を言い渡しました。


【2013年~2014年 新潟ハイエースレイプ殺人鬼事件】
▶概要
2013年~2014年にかけて女性6人を強姦し、うち3名を死亡させた事件。
加害者はその前2008年に、友人宅を放火したとして懲役3年を求刑されていました。

▶判決
裁判員裁判の判決公判により、新潟地方裁判所は無期懲役を言い渡しました。

日本の性犯罪に対する司法とは

今回のインドネシアの事件と単純な比較をすることは難しいですが、日本での性的犯罪がいかに軽い量刑なのかということが分かるかと思います。
強姦殺人を複数人に対し行った前科持ちだったとしても、死刑にはならず無期懲役となり、その他執行される刑もありません。

例えば、インドネシアと同様に科学的去勢を刑罰として認めている国として、ポーランド、チェコ、アメリカやオーストラリアの一部の州などがあります。
他にも有罪者に関しては、再発防止として『GPS』を取り付け管理する仕組みが、アメリカやヨーロッパ諸国、韓国などで実施されています。

日本の司法でも散々上記のような施策が議題に上がりますが、必ずと言っていいほど頓挫してしまいます。

そもそも強姦や準強姦でも無罪になってしまうことがあるのですから、実現するまでには相当な時間がかかるような気がしてなりません。

ちなみに日本では、2020年にGPSを取り付ける議論が開始されたという報道がされていますが、その後特に進捗はありません。

インドネシアや他国のように、性加害者への量刑をしっかりと行うことで再犯率や犯罪率が下がるのであれば、GPSや科学的去勢を“導入しない”という選択肢はあまりないような気がしてしまいます。
例えばGPSについては、再犯さえしなければ後に取り外すことができるよう法構築をすればよいのにも関わらずです。

自分たちを先進国と認識する日本やその国民は、“強姦殺人者でも10年~20年で服役を終える国家”という事実をどのように考えるのでしょうか。

性犯罪は『心の殺人』と言われます。
被害者の心には、一生消えない深く大きい傷が残るのです。
多くの被害者が自分に自信を持てなくなったり、汚れてしまったと感じてしまうことも想像に難しくありません。
PTSDのような精神疾患を患う可能性があるのはもちろんのこと、本気で笑ったり、楽しむことを忘れてしまったりする人もいるでしょう。
「被害にあっていなかったら…」と何千回も何万回も考えるでしょう。

そんな被害者を尻目に、場合によって加害者は無罪となり、次の日から野放しになる世界なのです。
服役したとしても、期間が過ぎれば加害者と同じ空間でまた過ごすことになります。

自分の友達が、恋人が、同僚が、子どもが同じ目にあったら、平然と今の日本の司法を受け入れられるでしょうか?

“性犯罪における99%以上の加害者は男性である”というデータがあります。

筆者は心理カウンセラーですが、男性であるが故か、性被害にまつわる相談をされることはそう多くありません。
しかし、女性の心理カウンセラーには性被害による相談が多いと聞きます。

強姦や性強要のような分かりやすい犯罪でなくても、痴漢を始め、セクハラなどでも同じようなことが言えます。

私は男性ですが、加害者の人権などを説く前に、被害者のことを思い現状からの脱却を求めます。
新しい被害が生まれる確率が下がるのであれば、今回のインドネシアや他国のような厳しい量刑を科すことを望んでいます。

この記事のライター

神奈川県生まれ。心理カウンセラー・キャリアコンサルトの有資格者。うつ病 / パニック障害 / 適応障害 / 依存症 / などの精神疾患から仕事や日常的な悩みなどを幅広くカウンセリング活動を行う。社会問題から心理学関連、カウンセラー活動記録、研修・教育、など人や仕事に関わるジャンルでライティングを行う。趣味は、アニメ鑑賞、競馬、散歩。採用コンサルタント、就業ケアマネージャーとしても活動。

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