HIVやエイズについて、「言葉は聞くけどあまり身近に感じない」そんな人が多いのではないのでしょうか?
今はコロナ対策を万全にして生活している人がほとんどだと思いますが、HIVについて考えて生活している人はほとんどいないと思います。
HIVはヒトからヒトへ感染する病気ですが、逆に言えばヒトからヒトへしか感染しません。
また、感染対策をすれば絶対に感染することがない病気です。
現在ではHIVの感染陽性が出ても、感染の早期把握、治療の早期開始・継続によりエイズの発症を防ぐことができ、HIVに感染していない人と同等の生活を送れるよう医療も日々進歩しています。
また、継続して治療を行い体内ウイルス量が減少すれば、HIVに感染していても他の人への感染リスクは大きく低下することも分かっています。
今回は、どのようにしてエイズに感染するのかについてお話したいと思います。
エイズとは
エイズはHIVに感染することで引き起こされる病気です。
HIV(Human Immunodeficiency Virus)とは人免疫不全ウイルスのこと。
病原体への抵抗力が働かないようにしてしまうウイルスです。
HIVに感染すると病原体への抵抗力が正常に機能しなくなり、結核や肺炎などさまざまな感染症に感染し、死に至ります。
HIVに感染して起きるそういった症状を「エイズ(後天性免疫不全症候群)」と言います。
エイズの症状
HIVに感染すると、平均6~8週間で血中にHIV抗体が検出されます。
感染後も無症状期間が数ヵ月から最大10年ほど続きますが、次第に免疫力が低下し、発熱・下痢・おう吐・けん怠感・リンパの腫れなどの症状が現れます。
このような症状が持続している状態をエイズ関連症候群と言い、さらに進行しエイズと診断される状態になると、さまざまな感染症や神経症状も現れます。
感染経路
■母子感染
・胎内感染
母親の血中HIVが胎盤内に侵入し、へその緒を通して感染。
・産道感染
分べん時に産道を通る過程で、母体の血液や体液などに触れることで感染。
・母乳感染
母乳の摂取による感染。
■血液による感染
・注射針の使いまわし
採血や予防接種といった医師によるものや、薬物依存者同士の注射針の使いまわし。
・輸血による感染
HIVに感染した血液の輸血。
・その他
ピアス針やタトゥー器具の消毒作業を省いた針の使いまわし。
日常生活において血液のついたカミソリや歯ブラシなどの共用、血液の摂取や傷口との接触。
同じお皿の食べ物を食べたり、回し飲みをしたりすることについては、唾液内にウイルスがごく少量しか含まれていないため感染の心配はありません。
お風呂やプール、洗濯物を介した感染も水中で感染力を持続させられる力を持っていないのと、感染力が弱いため感染の可能性はありません。
また、マラリアなどの感染症の原因である蚊を介した感染もありません。
HIVは蚊の消化液によって感染力を失います。
■性行為による感染
HIV感染者との性行為による感染です。
HIVの感染経路のなかで最も多い感染原因となっています。
血液だけでなく精液や膣分泌液からも感染の可能性があります。
・セックス
男性の場合は膣分泌液が尿道などに侵入し感染します。
女性の場合は精液から膣内の粘膜に触れて感染します。
・オーラルセックス
先述の通り、唾液を介しての感染はありませんが、HIV感染者の精液や膣分泌液が口内に入ることによる粘膜感染や、逆に口内の傷口から出血がある場合、女性であれば膣から、男性であれば亀頭の細かい傷や尿道から侵入し感染します。
・アナルセックス
直腸も粘膜なので精液から粘膜感染を引き起こします。
挿入する側も、肛門や直腸から出血があった場合はセックスと同じく尿道などから侵入し、感染します。
直腸は傷つきやすいため、挿入前に出血がないからといって安心はできません。
(※腸内でHIV感染者に射精された場合でも、すぐに排便するか浣腸で排出すれば感染リスクは下がると考えられています。)
性行為については、正しい避妊具の着用が求められます。
唾液による感染はありませんので、キスなんかは問題ありません。
日本だと、ここ10年近くは年間1000人前後の方にHIV陽性反応がでており、エイズ発症者は400人前後を推移しています。
計算してみると、HIV感染者は年間10万人に1人の割合で増えているということになります。
あまり意識がないのもうなずけますね。
しかし海外に目を向けて見ると、わりと深刻な問題になっています。
南アフリカでは十数人に1人がHIVに感染していると言われています。
日本にはHIV感染者の渡航制限がありませんので、アフリカに限らず世界各国からHIV感染者が渡航してくるのが事実です。
感染の自覚がある人ない人さまざまですが、ビザを取得し定住する人も年々増えています。
差別をするわけではありませんが、いろんな地域から多くの人々が渡航してくる以上、感染リスクは上がり続けます。
日本ではそうそう感染しないだろうという思い込みは禁物です。
しかし、前述の通り空気感染はしませんし、感染経路や感染原因がわかっていますので、十分に対策は可能です。
また、HIV陽性者への差別や偏見は全くもって意味をなしません。
正しい知識で正しく予防していきましょう。
1996年、新潟県生まれ。
趣味は献血、フォロワー1人のインスタアカウント有。
日本一の抹茶アイスを作るため研究中。