新卒学生向け就職サイト『マイナビ』が、2023年卒業予定の大学生・大学院生を対象に実施した「大学生のライフスタイル調査」の結果において、非常に興味深い項目がありました。
まず、「結婚後の仕事に関してどのように考えているか」という問いに対して、「結婚せず自分の収入のみで生活するのが望ましい」という項目を選択したのが、男性10.6%、女性11.6%という結果に。
調査開始以来、10%を超えるのは初めてのことだと言います。
次いで、「子育てについて、あなたの考えに近いもの」という問いに対し、「今のところあまり子供は欲しくない」という項目を選択したのが男性7.5%、女性が14.5%と、こちらも調査開始以来最も高い結果になったそうです。
結婚と子育てがライフイベントとして当たり前だった時代から、選択する時代へと徐々に移り変わっているのを感じますね。
もちろん社会情勢といった背景を踏まえ、金銭的理由を考慮してやむを得ず…という意思決定の仕方もあるとは思います。
外的要因によって、選択したくても選択できないという状態は社会として健全とは言えません。
したがって、支援や補助など制度的な部分での発展が必要になると思いますが、そうではなく、「結婚しない」「子どもをもたない」を自由に選択すること自体に意味があると考えます。
“結婚して家庭をもつこと=幸せ”という固定概念が取り払われ、幸せの価値基準が“個”に委ねられるという動きは、非常に価値が高いのではないでしょうか。
筆者は20代ですが、結婚・子育てに対して“絶対にしたいもの”という風には捉えていません。
してもしなくてもよいもの。人生経験として、してみても悪くはないだろう。そういった考えです。
周りの友人たちを見ると、私と同様の考え方の人もいれば、絶対に結婚したい、逆に絶対に結婚したくない、結婚はいいけど子どもは持ちたくない、など選択肢は十人十色です。
両親世代となると、内心心配そうではありますが、そういう時代なんだろうと理解を示そうとしてくれているのを感じます。
しかし、祖父母世代までいくと「早くひ孫の顔が見たいなぁ」と言われることもしばしば。
結婚・子育てが当たり前の価値基準なのだと思い知らされます。
同じ時代に生きている世代の違う者同士の間で、これだけ価値観に違いがあるのですから、感覚をアップデートし続けるというのは恐らく難しいのでしょう。
この調査に協力した大学生が社会に出て数年たった時、また新たな価値観が生まれているのでしょうか。考えを巡らせるのもまた面白いですね。
どういった形にせよ、個人の望む選択肢を不自由なく選ぶことができる、そんな社会になっていってほしいです。
岡山県生まれ。大学で英米語を専攻するも、韓国語のほうが得意。
興味・関心をもったトピックスについてジャンルを問わず執筆。
平和主義者。好きな言葉は「好きこそ物の上手なれ」