2022年1月5日、栃木県にある那須サファリパークにて、飼育員3名がベンガルトラに襲われるという痛ましい事故が発生しました。
飼育員の命に別状はないものの、うち1名は右手首を失う重症とのことです。
飼育員が屋内の飼育施設から屋外へトラを移動させる準備をしていたところ、本来であればトラがいないはずの展示スペースにつながる通路にて鉢合い、今回の事故が発生しました。
前日にトラが獣舎に戻ったことを確認しないまま施錠してしまった疑いがあり、人為的ミスによって起きた事故だと見られています。
那須サファリパークでは、1997年と2000年にも飼育員がライオンに噛まれ大けがを負うという事故が起きています。
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飼育員は普段から愛情をかけて接しているだけに、心理的ショックも大きいのではないかと想像できます。
飼育されているトラとしても、普段とは違う出来事に驚いたことでしょう。
動物は人間と違い、言葉を使ったコミュニケーションを取ることができません。
自らの危険を察知し、本能のまま“噛みつく”という行動をとったのでしょうから、「飼育員を襲ったトラ」として取り上げられてしまうのは非常に胸が痛いです。
人が仕事をする以上、新人・ベテランに関わらずミスをする可能性は大いにあり得ます。
それをいかに防いでいくのか、というのが課題にはなりますが、日常的に行う行動であればあるほど、緊張感を持ち続けるというのは難しいものです。
動物園での事故は度々起きており、最近だと以下のようなものがあります。
▶2018/10/8
鹿児島県の平川動物公園にて、飼育員1名がホワイトタイガーに襲われて死亡する事故が発生。
▶2017/2/26
長野県にある小諸市動物園にて、飼育員1名がライオンに噛まれて重傷を負う事故が発生。
どちらも園のルールに沿っていれば起こりえない事故とし、人為的ミスが原因と見られています。
反対に、動物が飼育環境などを原因にけがを負ったり、死亡してしまったりするケースも往々にしてあります。
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「動物園とは人間の娯楽のためだけに存在している場所なのだろうか…」
そんな疑問が生まれ、調べてみたところ、動物園は以下の4つの機能を担っているそうです。
1. レクリエーション 人間の娯楽を目的とする。 2. 教育 展示している動物が、生態系の中でどのような役割を果たしているのか理解を促す。 環境保護の観点からも、人間が取るべき行動を考えさせる場でもある。 3. 種の保存 地球上に存在している野生動物を守り、後世に伝えていくと共に、希少動物を保護したり、絶滅危惧種が生息地の外でも生きていけるような場を提供する。 4. 調査研究 野生生物に関わる繁殖や行動など、学問の発展に寄与している。 |
果たして動物園とは、人間・動物双方にとってポジティブな場所なのでしょうか。
それともネガティブな場所なのでしょうか。
皆さんは今回の事故をどのように受け止め、どのように考えますか?
岡山県生まれ。大学で英米語を専攻するも、韓国語のほうが得意。
興味・関心をもったトピックスについてジャンルを問わず執筆。
平和主義者。好きな言葉は「好きこそ物の上手なれ」