日本でも経口中絶薬の承認申請へ

日本でも経口中絶薬の承認申請へ

母体を守るための選択肢が増えるか


日本で初めて、人工妊娠中絶を飲み薬で行う「経口中絶薬」の承認申請が年内に行われる見通しです。

この中絶方法は、下記2種類の薬を順番に服用することで、妊娠の継続を止め、胎児や胎盤の排出を促すというもの。

ミフェプリストン…妊娠の継続に必要なホルモンの働きを抑える効果がある。
ミソプロストール…子宮を収縮させ、人工的に流産を起こさせる効果がある。

日本国内の治験結果によると、治験者の93%が薬だけで中絶を完了したとのことで、
学会ではその有効性と安全性が確認されたと報告されています。


気になる残りの7%ですが、胎児や胎盤の一部が排出されず体内に残ってしまい、外科的処置が必要になったケースや、想定する24時間以内には排出が完了しなかったケースがあったようです。

現在までの日本では、中絶と言うと、子宮に器具を挿入し、胎児や胎盤をかきだす「そうは法」と呼ばれるものが主流でした。

しかし、この「そうは法」は母体を傷つけたり、合併症を引き起こしたりする恐れがあり、世界では時代遅れの方法だとされています。

世界保健機関(WHO)が2012年に発表したガイドラインでは、「そうは法」は安全でないため直ちに切り替えを行うべきだと勧告し、「経口中絶薬」を必須医薬品に指定しています。

世界ではすでに70カ国以上で「経口中絶薬」の承認がされており、安全かつ安価な薬が使用されています。

海外の「経口中絶薬」の平均価格は、日本円で430円~1300円ほどです。

妊娠は男女の存在があって初めて成り立つものですが、中絶における身体的リスクを担うのは女性のみです。

だとすれば、よりリスクの少ない選択肢を用意するのは妥当だと言えます。


もちろん「経口中絶薬」も薬を服用するわけですから、副作用のリスクは伴います。

治験者のなかには、腹痛や嘔吐の症状を訴える方もいたそうです。


どんな方法であれ、それぞれ長所と短所が存在するのは事実ですが、
「経口中絶薬」の使用が認められれば、手術を行わない方法の選択肢が増えることになります。

自身の体としっかり相談したうえで、納得のできる選択ができる未来になってほしいですね。

この記事のライター

岡山県生まれ。大学で英米語を専攻するも、韓国語のほうが得意。
興味・関心をもったトピックスについてジャンルを問わず執筆。
平和主義者。好きな言葉は「好きこそ物の上手なれ」

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