2022年1月1日から、東京都内の公衆浴場では混浴制限年齢が引き下げられたのをご存じですか?
昨年まで「10歳以上」の子どもは混浴不可でしたが、今年から「7歳以上」に引き下げられています。
昨年12月、厚生労働省が都道府県に対して「おおむね7歳以上の男女を混浴させないこと」と変更を通知したのをきっかけに、今回の条例改正が行われました。
この条例改正は実に70年ぶりのこと。
70年の間に大きく時代は変化しており、子どもの発育が早まっていることや、性被害・盗撮被害の増加といった背景を含めて考えると、条例改正への着手が遅いと見ることもできるでしょう。
実際に小学生の保護者からは、
「自分の子どもと同級生の異性が同じお風呂に入ってしまう」
など以前から問題視する声が挙がっていました。
一方で個人の利用客からは、
「子どもに体をじろじろ見られて不快な思いをした」
といったクレームが施設側に寄せられることもあったりと、立場によってさまざまな意見がぶつかっていたのが実情です。
いくら子どもとは言え、小学生にもなれば性別による体の違いを認知できる年齢ですから、こういったトラブルがあってもおかしくはないと思います。
今回の条例改正で事態が好転すれば良いのですが、自治体によってばらつきがあるため、引き続きトラブルの懸念は残ります。
公衆浴場を利用される際は、その自治体での取り決めを事前に確認しておきましょう。
「1人でお風呂に入れるようになる」というのは、家庭内ですべき教育の1つだと筆者は考えています。
人はみな生まれたのち、家庭という1つの枠組みに所属し、そこから成長を遂げ、社会という大きな枠組みへと踏み出ていくものです。
したがって、入浴1つを取り上げても、1人で安全に入ることができるようになった状態で公共の場を利用するのが妥当な順序ではないかと思っています。
公共の場を利用するすべての立場の人々が、互いに理解を示すのが難しいのであれば、「家族風呂」(※1)を普遍的なものとして国が積極的に普及させるなど、ニーズにあった場を生み出すことでしか解決できないのではないでしょうか。
(※1)家族風呂とは
公衆浴場などにおいて、家族連れの客が専用で利用できる貸し切り風呂のこと。
“性”についての捉え方は昔とは全く異なっており、曖昧に濁してきた部分をクリアにしていく運動が今後も進んでいくと予測されます。
時代に合わせて個の意識もアップデートしていくことが求められますし、公共の場であることへの意識を大人がきちんともつことが必要です。
皆さんはこの問題をどのように考えますか?
親、その子ども、同じ浴場を使用する第3者、さまざまな立場を想像しながら考えてみてください。
岡山県生まれ。大学で英米語を専攻するも、韓国語のほうが得意。
興味・関心をもったトピックスについてジャンルを問わず執筆。
平和主義者。好きな言葉は「好きこそ物の上手なれ」